勘九郎・七之助、7年ぶりに博多座へ!博多の街がにぎわう『六月博多座大歌舞伎』が開幕・初日レポート - TABERY

勘九郎・七之助、7年ぶりに博多座へ!博多の街がにぎわう『六月博多座大歌舞伎』が開幕・初日レポート

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中村勘九郎さん、中村七之助さんが7年ぶりに博多座に帰ってきました。6月4日から開幕した『六月博多座大歌舞伎』は、先日開催された恒例の「船乗り込み」で3.5万人もの観衆を集めるなど、福岡・博多の街全体が大きな盛り上がりを見せています!

今回の公演では、人気と実力を兼ね備えた顔ぶれが集結。昼夜合わせて5つの演目が上演され、古典の名作から新作歌舞伎まで、幅広いラインナップが用意されています。観客を笑いと感動、そして圧倒的な迫力で包み込む舞台の様子を、初日のレポートからご紹介します。

人情と笑いが心にしみる…昼の部のハイライトは話題の新作歌舞伎

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昼の部の幕開けを飾ったのは、義太夫狂言『双蝶々曲輪日記 引窓(ふたつちょうちょうくるわにっき ひきまど)』。主人公・南与兵衛(のちに南方十次兵衛)を中村橋之助さんが、その妻お早を中村鶴松さん、母・お幸を中村梅花さん、そして敵役・濡髪長五郎を中村福之助さんが演じ、人間模様の機微を丁寧に描き出しました。

義理と情に揺れる家族、そして男たちの心の葛藤が引窓越しに交錯するこの物語では、互いの立場を思いやる演技に客席も静かに見入っていました。歌舞伎ならではの様式美と、現代にも通じる人間ドラマが、深い余韻を残します。

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続いての舞踊『お祭り』は、粋で洒脱な江戸の情緒をたっぷりと味わえるひと幕。勘九郎さんが演じる鳶頭(とびがしら)は、力強さと色気を併せ持ち、まるで町を練り歩く祭囃子のように観客を引き込みます。この演目は『平成中村座 小倉城公演』でも人気を集めた一作で、今回も拍手喝采を浴びました。

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昼の部の締めくくりには、新作歌舞伎『福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)』が登場。七之助さんが演じるのは、福をもたらすために奮闘する“愛すべき貧乏神”おびん。

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対する勘九郎さんは、どこかとぼけた雰囲気の貧乏神・すかんぴんを演じ、さらに今回は新たに“貧乏神元締”からっけつ役として市川猿弥さんも加わり、物語に厚みをもたらしました。

舞台には福岡にちなんだエピソードや地名も織り込まれ、地元の観客にとってはどこか親しみを感じる仕上がりに。笑いの中にも人情が息づく作品で、会場にはあたたかい拍手と笑顔があふれていました。

伝統と怪談が共演。夜の部では勘九郎の三役早替りにどよめき

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夜の部の一作目は、菅原道真の流罪伝説をもとにした義太夫狂言『菅原伝授手習鑑 道行詞の甘替(すがわらでんじゅてならいかがみ みちゆきことばのあまいかい)』。中村虎之介さんが演じる桜丸と、中村鶴松さんが演じる苅屋姫、中村福之助さんの斎世の君が、59年ぶりに演出を新たにして登場しました。

若い恋人たちが道ならぬ恋に苦しみ、やがて別れを迎えるという切ない物語は、上方歌舞伎の美しさが凝縮されたひと幕。衣装や舞台美術も華やかで、幻想的な世界に観客は引き込まれていました。

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そして夜の部の目玉となったのが、十八世中村勘三郎さんが復活させ、現在の勘九郎さんが継承する『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』です。落語家・三遊亭円朝の口演に基づくこの怪談は、幽玄な恐ろしさと人間の業を描いた傑作。

勘九郎さんは、気品ある旗本・下総直助重信、誠実な下男・正助、そして冷酷な悪党・蟒三次(うわばみさんじ)という全く異なる三役を早替りで熱演。特に本水を使った滝壺の場面では、ダイナミックな殺陣の中で次々と姿を変えるその技術に、客席から驚きと感動の声が上がりました。

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会場には空気を揺らすような緊張感と迫力がみなぎり、歌舞伎ならではの壮大なエンターテインメントを存分に味わえるひと幕となりました。

『六月博多座大歌舞伎』は6月26日まで・全42回公演

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『六月博多座大歌舞伎』は、6月26日(木)まで、昼夜2部構成で上演されます。演目は日替わりではなく、同じプログラムを期間中繰り返し上演する形式。10日(火)と18日(水)は休演日ですのでご注意ください。

歌舞伎初心者の方でも楽しめる演目構成と、豪華な出演陣による生の舞台は、まさに今しか味わえない贅沢な時間。伝統と革新が息づく舞台で、日本の芸能文化の奥深さにふれてみてはいかがでしょうか。

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六月博多座大歌舞伎
■日程:令和7年6月4日(水)〜26日(木) ※10日・18日は休演
■会場:博多座(福岡市博多区下川端町2-1)
■出演:中村勘九郎・中村七之助・中村橋之助・中村福之助・中村虎之介・中村鶴松・中村梅花・市川猿弥
■料金:A席 16,500円/特B席 12,000円/B席 9,000円/C席 5,500円
■チケット:博多座オンライン、チケットぴあ(Pコード 昼532-313/夜532-314)、ローソンチケット(Lコード 昼83467/夜83468)ほかで発売中
■お問い合わせ:博多座電話予約センター 092-263-5555(10:00〜17:00)
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