2025年8月30日(土)・31日(日)に博多座で上演される、こまつ座による音楽劇『きらめく星座』。
昭和初期、激動の時代を生きた東京・浅草の一家を描く本作は時代背景こそ戦前ですが、そのメッセージは現代にも重なる部分が多く、見る人の心に静かに語りかけてくる作品です。
小さなレコード店に広がる、時代の波と家族の物語

舞台の中心となるのは、東京・浅草の小さなレコード店「オデオン堂」。
昭和16年、戦争の足音が近づく中でも、日々の暮らしを懸命に営む一家と間借り人たちの姿が描かれます。
物語は、店の長男が軍を脱走したという知らせから一変。
家族は「非国民」と見なされ、周囲の目が厳しくなる中でも、音楽や会話、ささやかな日常を大切にしながら、それぞれの想いと向き合っていきます。
心に残るのは、“言葉”の重みとぬくもり

『きらめく星座』2023公演より松岡依都美(撮影:宮川舞子)
脚本は、『日本語を大切にした作家』として知られる井上ひさしさん。
彼の信条「むずかしいことをやさしく」が色濃く反映された本作では、政治や価値観の対立といった重たいテーマも、家族の会話やユーモアを通じて描かれます。
「人間は奇蹟そのもの」という一節をはじめ、作品には多くの印象的な言葉が登場します。
SNSや情報があふれる今だからこそ、あらためて“言葉とどう向き合うか”を静かに考えさせてくれる内容です。
昭和のメロディとともに、今を見つめ直す時間に

『きらめく星座』2023公演より左より、松岡依都美、大鷹明良、粟野史浩、瀬戸さおり、木村靖司(撮影:宮川舞子)
本作では、昭和初期に流行した楽曲「青空」「一杯のコーヒーから」などがピアノの生演奏で響き渡ります。
どこか懐かしく温かな音楽が、舞台の空気をより一層やわらかく包み込み、観客の心をそっと解きほぐしてくれるはず。

『きらめく星座』2023公演より左より、粟野史浩、久保酎吉、瀬戸さおり、大鷹明良(撮影:宮川舞子)
重くなりすぎず、でも見たあとに確かな余韻が残る。そんな舞台です。
静かに響く、家族と時代の物語を福岡で

『きらめく星座』2023公演より左より、粟野史浩、久保酎吉、木村靖司、松岡依都美、後藤浩明(撮影:宮川舞子)
『きらめく星座』は、歴史や社会を描きながらも、そこに暮らす人々のあたたかな日常を丁寧に描いた作品です。戦争の時代に向き合った人々の姿を通して、「今をどう生きるか」を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
博多座での公演は2日間限定。演劇ファンはもちろん、久しぶりに舞台を観たいという方にもおすすめです。
この夏、博多の劇場で心に残る物語に触れてみてはいかがでしょうか。
information
住所:福岡市博多区下川端町2-1
電話番号:092-263-5555(10:00〜17:00) 博多座チケット売場(10:00〜17:00/2階広場)
上演情報:こまつ座 第155回公演『きらめく星座』
会場:博多座
スケジュール:2025年8月30日(土)~31日(日)
上演時間:8月30日(土):12:00/17:00・8月31日(日):12:00
料金::A席:10,000円/B席:7,000円/C席:4,000円
※この記事は取材時点の情報です。最新情報は公式SNS等でご確認ください。



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