福岡・博多座|中村壱太郎が語る!二月花形歌舞伎『あらしのよるに』への熱い想い

累計380万部を超える名作絵本を中村獅童さんが発案し歌舞伎化した『あらしのよるに』が、2026年2月に博多座で再演されます。約8年ぶりに帰ってくるこの人気作で山羊のめい役を勤める中村壱太郎さんが取材会に登壇。古典の技法を巧みに用いて「性別を超えた一つの存在」としてめいを演じる意気込みや、博多座への特別な想いを語りました。

目次

あの感動が再び博多座へ!二月花形歌舞伎『あらしのよるに』

原作は平成6(1994)年に刊行されて以来、国内外で愛され続けているきむらゆういちさんの名作絵本。平成27(2015)年に新作歌舞伎として初演され、古典歌舞伎の演出や技法を採り入れつつ、原作の世界観を見事に表現しました。

その後、歌舞伎座、そして博多座でも再演を重ねてきた人気作品が、約8年の時を経て新たな趣向を加えて待望の再演となります。狼のがぶ役を中村獅童さん、山羊のめい役を中村壱太郎さんが勤める、世代を超えて楽しめる最高のエンターテインメントです。

狼のがぶと山羊のめい。種族を超えた奇跡の友情物語

舞台は激しい嵐の夜、真っ暗な小屋で偶然出会った狼のがぶと山羊のめいが、互いの素性を知らないまま意気投合するところから始まります。「あらしのよるに」を合言葉に再会を果たす二匹ですが、目の前の相手は天敵同士。狼の“食べたい欲求”と、山羊の“食べられてしまう不安”を乗り越え、共通の話題で親しみを深めついに“友達”と呼び合うかけがえのない関係になります。しかし、狼の群れも山羊の仲間たちも、二匹の関係に疑念を抱き、やがて種族を巻き込んだ大騒動へと発展していきます。

今回の二月花形歌舞伎『あらしのよるに』では、原作にはない緊迫感あふれる立ち回りや、命がけのエピソードが加わり、よりダイナミックで深い物語が展開。中村壱太郎さんが、真っすぐな心を持つめいをどのように演じるか、期待が高まります。

取材会に中村壱太郎さんが登壇、博多座への想いを語る

11月下旬に行われた合同取材会にはめい役の中村壱太郎さんが出席し、博多座で上演される二月花形歌舞伎『あらしのよるに』への想いを語りました。

ーー 歌舞伎『あらしのよるに』の魅力について教えてください。

まずは絵本からできているというところが新作歌舞伎としての大きな魅力です。新作歌舞伎は“ただ新しいことをやっている”というわけではなく、かけあわせが必ずあるんです。歌舞伎の演目でも動物になることが多いんですよね。動物の表現は元々歌舞伎にあるなかで“狼と山羊”に着目したというのはとても大きなことですし、歌舞伎で表現することに対して、とても合っている、と思っています。

ーー めい役ならではの役作りの工夫や、難しさはありますか?

9年前からずっとめいを演じられてきた尾上松也のお兄さんに電話で教えを請いました。やぎ特有の蹄(ひづめ)を模した手の形や、鼻の下に少し紅を入れる工夫などを継承しています。
私は女方を演じることが多いですが、めいは男の子でも女の子でもなく、性別を超えた一つの存在としてのがぶとの繋がりを大切に演じています。

ーー 博多座に対してどんな印象をお持ちですか?

去年のスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』(2024年10月に上演)がとても印象的でした。(中村)隼人くん、(市川)團子くん、(中村)米吉くんと4人で看板をさせていただくのが初めてで、どれだけお客様が来ていただけるのだろうと不安の中、劇場の方々が私たちのやりたいことを組んでくださいました。初日に劇場の前でイベントをしたり、本当にいろんなことをさせてもらえました。その結果、補助席まで出て満席になったことが、私たちにすごく大きな力を与えてくれました。そんな博多座に今回帰って来られるのが嬉しいです。

ーー 休演日などにやりたい事などはありますか?

公演中はずっと山羊でいるつもりなので、おいしい草を探しに行きます。(会場の笑い)この辺に山羊っていますか?

ーー ( 近くに福岡市動物園があります )

そこに行こうと思います!

ーー 今回は3才以上の未就園児も入場可能ですが、どういったこところを意識していますか?

未就学児から入場できるのは歌舞伎としても大きな試みです。「子供を預けられなくて歌舞伎を観れなかった」という話をよく聞くので、今回は一緒に劇場に入ることができるのはすごく大きなことだと思うんです。初めて歌舞伎に触れる機会になるかもしれないので、“歌舞伎って楽しい”と思ってもらえるようなめいでいたいですね。
今回は獅童さんのご子息の中村 陽喜(はるき)くん(7才)と夏幹(なつき)くん(5才)がはじめて博多座にお目見えします。陽喜くんが幼いころのめいの役を演じるので、陽喜くんに負けないかわいさで演じたいと思います。

終始、めいへの真摯な思いを熱く語られた壱太郎さん。テーブルに置かれていためいのぬいぐるみを、大切そうにそっと撫でていらっしゃる姿が印象的でした。言葉だけでなく、細やかな仕草からも、壱太郎さんがこの役を深く愛し真剣に向き合っていることが伝わってきました。

チケットは12月6日(土)から好評発売中!

二月花形歌舞伎『あらしのよるに』は、新作歌舞伎として絵本の舞台化に留まらず、歌舞伎の持つ技法、音楽、踊り、立廻りといった古典的要素もぎゅっと詰まった作品です。ぜひこの機会に博多座に足を運び、笑いと感動に包まれる『あらしのよるに』を体感してください。(※文・画像:博多あや.)

information

上演情報:二月花形歌舞伎『あらしのよるに』

会場:博多座(福岡県福岡市博多区下川端町2-1)

スケジュール:2026年2月7日(土)~20日(金)

上演時間:昼の部 11:00/夜の部 16:00

公式サイト:https://www.hakataza.co.jp/news/486

 

※この記事は取材時点の情報です。最新情報は公式SNS等でご確認ください。

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