福岡市博多区の博多座にて、2026年6月2日(火)から22日(月)まで『六月博多座大歌舞伎』が上演されます。本公演は、尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露、尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露と銘打たれた、歌舞伎ファン必見の豪華なダブル襲名披露です。
今回は公演に先立ち、見どころやあらすじ、そして八代目 尾上菊五郎さんの取材会インタビューをお届けします。
歌舞伎界屈指の大名跡。音羽屋親子の襲名の軌跡

©岡本隆史
尾上菊五郎といえば、江戸の昔から名優を輩出し続けてきた歌舞伎界屈指の大名跡。その八代目を尾上菊之助さんが、また六代目 尾上菊之助を、長男の尾上丑之助さんが襲名しました。歴代最年少(発表当時11歳)での菊之助襲名ということもあり、広く注目を集めています。
2025年5月・6月の歌舞伎座から始まり、大阪松竹座、御園座、京都・南座と全国を巡ってきた本襲名披露興行も、いよいよこの博多座公演で大劇場での締めくくりを迎えます。
豪華演目が目白押し!昼の部・夜の部のみどころ&あらすじ
本公演は昼の部と夜の部に分かれており、それぞれ襲名披露にふさわしい至高の演目が並びます。

©松竹_尾上菊之助 2025年6月歌舞伎座「車引」より
昼の部は、天下泰平や五穀豊穣を祈るご祝儀舞踊「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」で幕を開けます。続く「車引(くるまびき)」は、歌舞伎の様式美と荒事(あらごと)の魅力が詰まった一幕。新菊之助さんが初役から1年を経て、さらに力強さを増した梅王丸を勤めます。
そして音羽屋の家の芸である「茨木(いばらき)」では、新菊五郎さんが初めて伯母・真柴に挑み、左腕のない設定で踊る場面や恐ろしい鬼神となっての立廻りを見せます。

©松竹_尾上菊之助 2025年6月歌舞伎座「連獅子」より
夜の部では、変わらぬ夫婦愛を描いた新作歌舞伎「ぢいさんばあさん」で、新菊五郎さんが初役で美濃部伊織をつとめます。続く「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」は市川團十郎さんが五郎蔵をつとめ、粋な心意気と華やかな立廻りで襲名披露に華を添えます。
裃(かみしも)姿の俳優たちが揃う晴れやかな「襲名披露 口上(こうじょう)」の後は、大トリを飾る大注目の「連獅子(れんじし)」。豪快な毛振りは圧巻のみどころとなっています。
八代目 尾上菊五郎さん 取材会インタビュー

『六月博多座大歌舞伎』を前に福岡市内で行われた合同取材会には八代目 尾上菊五郎さんが出席されました。
ーー 大劇場での締めくくりとなる博多座公演ですが、どのような思いで臨まれますか。

博多座はお客様が歌舞伎を心待ちにしてくださっている雰囲気が満ち溢れる、大好きな劇場です。今回、襲名披露興行でお邪魔するのをとても楽しみにしておりました。
ーー 昨年の襲名披露興行と今回とで、大きく違う点はありますか?
2つございます。1つは、私自身が『茨木』、そして『ぢいさんばあさん』で大きな役をつとめさせていただくことです。もう1つは、博多座公演のために音羽屋を象徴する華やかな「祝い幕」を新調していただいたことです。有名な作家さんに描いていただいたもので、ぜひ客席での楽しみの一つにしていただければと思います。
ーー 八代目を襲名されてから約一年。お名前との向き合い方に変化はありましたか?

最初は七代目と八代目が並び立つことに違和感を持たれる方もいらっしゃったかもしれませんが、最近では「八代目」と呼んでいただけるようになり、名前に馴染んできた感覚です。歴代の菊五郎に自分の芸を認めていただけるのかという緊張感を持ち、「菊五郎」という名前の重みを日々感じながら舞台に立っています。
ーー 今回、博多座初お目見えとなる長男・六代目 菊之助さんについてはどのようにご覧になっていますか。
昨年12歳で襲名し、大人でも骨が折れるような大役を務める中で、精神的にも肉体的にも懸命に努力し成長していると思います。彼が大変な役に向き合う姿勢をぜひご覧いただき、応援していただきたいです。
ーー 父親として、菊之助さんに伝えていきたいことはどのようなことでしょうか。
彼の中には「四代目菊五郎、二代目吉右衛門になりたい」という目標や、歌舞伎が好きだという思いが大きく育っています。もっと好きになれるよう魅力を伝えると同時に、芸の厳しさも教えて、二人三脚で音羽屋の名や歌舞伎の歴史を守っていきたいと思っています。
ーー 博多ならではの楽しみはありますか?

夜の部の開演時間が早いこともあり、今回は博多でおいしいものをたくさん食べたいと本人(菊之助さん)も楽しみにしているようです。また、今回は土曜日に「船乗り込み」も実施予定です。両岸から「お帰りなさい」と言っていただけることが本当に力になりますし、菊之助も初めての乗船を心待ちにしているので、ぜひ足をお運びください。

歌舞伎の伝統と革新を受け継ぐ音羽屋親子の新たな門出。数々の名作や豪華な顔ぶれが揃う六月博多座大歌舞伎は、初心者から目の肥えた歌舞伎ファンまで存分に楽しめる内容となっています。大劇場での締めくくりとなるこの貴重な公演を、ぜひ博多座で体感してみてください。(※取材・撮影:博多あや.)
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